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セガサミーグループ

 

エンタテインメントグループだからこそ考える人権問題

セガサミーグループが取り組むサステナビリティ

 

 

エンタテインメントコンテンツや遊技機、リゾートなど、エンタテインメントに関する様々な事業を展開するセガサミーグループ。同社は以前からLGBTQイシューをはじめとする人権問題に積極的に取り組んできた。その姿勢の背景にはどのようなフィロソフィがあるのか。同社サステナビリティ推進室の石井優貴さんにお話を聞いた。 取材・文/宇田川しい

 

古い価値観ではうまくいかない「エンタメ」の仕事

 

――セガサミーでは以前からTRPに協賛されていますし、社内でLGBTQへの支援制度も導入されています。また「work with Pride」によるPride指標でゴールド認定を受けていますね。

 

石井優貴さん セガサミーグループでは、社会ニーズに応え、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指すため、2020年にグループで特に注力すべきものとして「人」、「製品/サービス」、「環境」、「依存症」、「ガバナンス」の5つの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。このうち「人」では、多様性の向上や人権の尊重、差別の禁止や弱者保護による不平等の排除を徹底するために様々な活動を推進しています。LGBT+(弊社グループではこのように表現しています)に関する取り組みもこの考えによるものです。こうしたことは業務にもつながってくるのではないかと思います。

 

――セガサミーさんと言えばゲームやパチンコなどで知られています。

 

石井さん その他、リゾート事業もあって、国内外で多彩な事業を展開しています。グローバルな総合エンタテインメントグループであり、沢山のお客様に感動体験を提供する仕事です。こうした仕事はガチガチに固まった古い価値観ではうまくいきません。感動体験を生み出す源泉であり、グループサステナビリティの最も重要な要素でもある「製品/サービス」はクリエイティブな発想が求められます。そのためには多様な人財が、年齢や性別に囚われることなく生き生きと仕事が出来る環境が必要になってきます。

 

海外の人権問題にも積極的に発信

 

――LGBTQ以外の人権問題についても動いていますね。アメリカのBlack Lives Matterやアジア系へのヘイト問題について、またウクライナにおける紛争についてもいち早く声明を出されました。

 

石井さん 弊社のゲームは世界中で沢山の方々に楽しんでいただいています。特にソニック・シリーズのキャラクターであるソニック・ザ・ヘッジホッグは人権の保護と尊重に敏感な欧米でも大変人気がありますし、企業としての考えや姿勢を示すことがお客様や社員からも求められる時代でもあり、意志を伝えるために声明を出しました。

 

――人権問題について日本の企業がどういう対応をするのか見られているという面もありますね。

 

石井さん そのような責任も感じます。弊社グループCEOは海外経験も長く、多様性の推進を企業成長の重要な位置づけと考えているため、ダイバーシティやインクルージョンという言葉が一般的になる前から「人財」という言葉を使って、人を大切にする経営を進めてきたという背景があります。

2022年3月5日、ウクライナの方々へグループ会社である株式会社セガ、

SEGA Europe Limited.およびSEGA of America, Inc.を通じて人道支援を行うことを発表。

 

 

アライ募集に300人が応募

 

――様々な取り組みを続けてきたことで変化を感じることはありますか?

 

石井さん 先日、グループ新入社員研修を行いました。その中のサステナビリティ研修では、LGBT+や人権の問題についても触れていて、人権の尊重と差別の禁止などについて丁寧にわかりやすく、グループのダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの考え方を伝えています。この、新入社員研修の感想を見ると、数年前と比べてLGBT+イシューへの関心が高まっていることが伺えます。また、具体的な取り組みに参加したい、など能動的な決意表明をしてくれる方も増えました。

 

――若い人はすでに変わっているんですね。中間管理職など、ある程度以上の年齢の方はどうでしょうか。

 

石井さん 意外に、と言っていいか分かりませんが、中高年社員も関心は高いです。昨年、「セガサミー・サステナブルウィークス」という取り組みを行いました。2週間にわたって、サステナビリティに関わる様々なセミナーやイベントなどを行う啓発強化プロジェクトです。このイベントには40代、50代の社員も多く参加していただきました。興味もあり、知りたい、学びたいという意識は強いのだと感じました。

 

――「セガサミー・サステナブルウィークス」ではLGBTQ関連のイベントもありましたか?

 

石井さん LGBT+教育を支援しているNPO法人 ReBit(リビット)と連携し、子育て中のパパママ社員を対象に、「子どもに質問や相談された時にどう答えるか」をテーマとした講演会を行いました。また、アライ表明をしてくれる社員を募集するイベントがありました。アライについて説明をし、賛同・表明をしてくれる人を呼びかけ、手をあげてくれた社員には社員証を提げるオリジナルストラップをプレゼントしました。ストラップにはグループ企業各社のロゴがレインボー・カラーでプリントされています。

 

――アライであることが、ひと目で分かるわけですね。

 

石井さん この呼びかけに300人の応募がありました。正直、想像していたよりもかなり多くて驚きました。きちんと説明をすれば理解されるのだという自信になりました。

 

――当事者は、アライ・ストラップを社内で見かけることで心理的な安全性を感じるでしょうね。

 

石井さん 知り合いのLGBT+をカミングアウトしている社員は喜んでくれましたね。「自分がここにいていいよと言われているような気がした」と。

セガサミー・サステナブルウィークスのイベントで配布されたアライ・ストラップ。

 

社員と家族、さらにその先にいる大事な人とつながっていきたい

 

――あらゆる人が自分らしく働ける職場というのはすばらしいですね。

 

石井さん 自分らしくということは、LGBT+だけのことではなく、すべての人が、ですね。たとえば障害のある人もそうです。弊社グループには障害社雇用を推進する特例子会社があります。事業所は大崎本社と宮崎にあるのですが、大崎本社のみなさんは私たちと同じフロアで働いています。はじめは、戸惑いもありました。私は障害のある人と一緒に過ごした経験がほとんどなかったので、どう接すればいいのか分からなかったのです。でも、しばらくしたら、「今日は暑いねえ」みたいな当たり前の会話をしていました。変に身構える必要はなかったのです。一緒にいることで、意識が変わって、お互いに分かり合えることは多いと思いました。

 

――今後の取り組みについては、どのように考えてらっしゃいますか?

 

石井さん 社員が一歩を踏み出すきっかけを作っていきたいですね。分かってはいるけど、きっかけがないから動いていないという人は少なくないと思っています。メディアなどでもLGBT+やSDGsという言葉が盛んに流れていきますから、知識としては入っている。ただ、その先で自分が何をすればいいのか思いつかない。でも、たとえばレインボー・ストラップというきっかけがあれば、手を上げてくれる人が大勢います。ですから、そういう第一歩を踏み出す手助けをしていかなければと思っています。

 

――これからもアライは増えていきそうですね。

 

石井さん 増やしたいと考えています。そのためにTRPはとても良い機会です。できれば家族で参加して欲しいです。社員だけではなく、社員の家族、さらにその先にいる大事な人にも、メッセージを伝えたい。小さなお子さんにも、あの雰囲気を感じてもらいたい。その話を学校でしたりすれば、それがまた当事者のお子さんの安心にもつながるでしょう。そのようなコミュニケーションを可能にするツールの一つがTRPだと思っています。